お客様にお伝えしたい私たちの想い 大切な着物や帯だからこそ、買取りさせて頂きたいと願っております。

昭和が終わろうとしていた頃、街から着物の姿が消えかかっていました。

着物というものが、次第に生活から離れてゆき、

お嫁入り道具として揃えなくては、

成人式だらか用意しなくては・・・と

需要の多くが、親世代の義務の形だけとなったことが

その理由の一つだったのかもしれません。


親から子へと当たり前のように伝えられてきた

着物の着方・様々な季節の決まり事が、

新たに覚えなくてはならない特別なことになり、

そして何よりも悲しいことは、このような事態が作り手をじわじわと追いつめ、

昔ながらの手仕事による各地の染織業が、静かに消えつつあることです。

消えゆくものは声を立ててはくれません。




本当に守りたいもの・・・それは着物、という形の衣服でも名前でもありません。

着物を取り巻く文化であり、それを支える手技であり、華やかな表舞台に出ること

なくとも、技を磨き、より優れたものを作ることに手間暇を惜しまぬ作り手の

方々の存在ではないでしょうか。


ふと周りを見渡して、着物の姿を見かけることは、まだまだ少ないかと思います。

とはいえ、この20年の間に、二十代の若い方から年配の方まで、万遍なく確実に

その数を増やしている感はあり、明るい陽射しが見えてきたように思います。


着たいと思う方、そして着物の美しさに気付く方は確実に増えている筈です。

私共のお店で、本当の意味での上質な着物に出会えた方々は、

きっと更なる一歩として、着物を取り巻く世界にを守り、

しっかりと支える手となってくれることと信じております。


日本の箪笥には、まだまだ膨大な量の着物や帯が眠っています。

私共の仕事は、そのようなお品をきちんと次の方へと橋渡しすること。

工芸品であり、美術品であり、そのお家の文化である着物や帯。

作り手、誂えた方、それぞれの深い思いが込められた品々が、

箪笥に埋もれたまま、静かに朽ちていってしまうのは、

あまりにも悲しいことですね。


幸いにも、私達の店舗にお出でのお客様には、

その着物や帯の出自、糸や技術の希少性など、充分ご理解の上、

捜し求めていらっしゃる方々が大勢いらっしゃいます。

大切なお着物や帯、私共にお任せ頂きましたら、

必ず新たな良き嫁ぎ先へとご紹介させて頂きます。

身に着け、愛でられながら、着物や帯としての命を全うできますよう

お手伝いさせて頂けたら、と心から願っております。